概要
咳は肺から空気が突然、強制的に出てくる現象です。咳には気道に入った異物を取り除く働きがあり、咳をすることで、吸い込んだ異物から肺を守っています。また、たんは気道の粘膜を守る粘液や壊死組織、細胞などが混じった塊が炎症により増えてしまい、のどから出てくるものです。
咳にはさまざなタイプがあり、乾いた咳(乾性)や痰が混じった湿った咳(湿性)、血が混じった咳(血性)などがあります。また、たんも透明なもの、黄色や緑色のもの、血が混じったものなどがあります。
咳やたんは原因によって短期的なものから長引くもの、息苦しさを伴うものなどさまざまな特徴がありますので、耳鼻咽喉科や呼吸器内科を受診することをお勧めします。
原因
のどのかぜ、急性喉頭炎、急性気管支炎など
のどが炎症を起こすことにより、気道が刺激され咳やたんが出ます。多くは一時的な症状で、1~2週間程度で収まりまることが多いです。
喉頭アレルギー、気管支喘息、咳喘息、慢性気管支炎など
のどのアレルギーがもとに、のどの感覚が過敏になることにより、咳やたんが出ることがあります。また悪化すると喘鳴(ゼーゼーする)や息苦しさを伴うことがあります。
咽喉頭酸逆流症
夜遅くに食事を摂る、食べたらすぐに横になるなどの生活習慣がもとに、胃酸が食道、さらにはのどまで逆流することがあります。この胃酸によりのどが炎症を起こすとのどの違和感や咳が出ることがあります。
慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎
鼻からのどに多量の鼻水がおりてくることを後鼻漏といいます。特に副鼻腔炎では粘性の膿がのどにおりてくるため、これを排除しようとして咳やたんが出ます。
薬の副作用
高血圧の治療薬のうち、ACE阻害薬には咳の副作用があります。高血圧の治療をされている方で、お薬を内服し始めてから咳が出てくるようですと副作用の可能性がありますので、かかりつけの医師に相談されることをお勧めします。
肺がん、肺結核など
肺の腫瘍(特に悪性腫瘍)や結核などの感染症によって、気道が炎症を起こし、咳やたんが出ます。血が混じることが多いですので、3週間以上続くようでしたら、呼吸器内科を受診することをお勧めします。
執筆・監修医師紹介
院長/医学博士
楓みみはなのどクリニック 院長 中下 陽介
経歴
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- 関西医科大学 医学部医学科 卒業
- 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 卒業
- 広島大学関連病院勤務
- 木沢記念病院 耳鼻咽喉科 副部長
- 岐阜大学医学部付属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 助教(臨床講師)
- 中濃厚生病院 頭頸部・耳鼻咽喉科 部長
- 楓みみはなのどクリニック 院長
認定・資格
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- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師