みなさん、このような症状はありませんか?
◎起床時の頭痛やだるさ
◎日中いつも眠い、居眠りしていると注意された
◎運転中に居眠りしそうになる
◎寝ている時に呼吸が止まっている、大きないびきをかく
◎夜中によく目がさめる
以上のような症状は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に長い呼吸停止を繰り返し、睡眠が妨げられる病気です。しばしば一時的に血液中の酸素濃度が下がり、二酸化炭素濃度が上がることもあります。睡眠が妨げられるため、寝起きが悪い、日中の強い眠気、いびきなどの症状があり、重症ですとあえぎや息詰まり、呼吸停止などを起こし、荒い鼻息とともに突然目を覚ますことがよくあります。
睡眠時無呼吸症候群のリスク
睡眠時無呼吸症候群はさまざまな病気の発症リスクを高めます。
・高血圧→約3倍
・心臓病(不整脈)→約4倍
・脳卒中(脳梗塞、脳出血)→約3.3倍
・糖尿病→約4倍
・交通事故の発生率→約7倍
お子さまの睡眠時無呼吸症候群
お子さまでは大人と異なる症状も現れます。
・いびき
・疲れのとれない睡眠、寝汗、夜尿(おねしょ)
・口呼吸
・起床時の頭痛
・集中力低下、学習障害
・行動障害(多動性、衝動性、攻撃性)
・成長の遅れ(低身長)
睡眠時無呼吸症候群の原因
扁桃肥大、アデノイド増殖症、上咽頭腫瘍 など
のどの中咽頭に口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)があり、鼻とのどの間に当たる上咽頭に咽頭扁桃という免疫組織が存在します。口蓋扁桃の左右がくっつくぐらい腫れると扁桃肥大と言われます。また、咽頭扁桃が腫れるとアデノイド増殖症と言われます。また咽頭扁桃に腫瘍ができて腫れることもあります。扁桃肥大やアデノイド増殖症はお子さんに多く見られ、上咽頭腫瘍は大人の方にも見られ、鼻やのどの中がせまくなるためにいびきや睡眠時無呼吸が生じることがあります。
鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎、アレルギー性鼻炎、鼻茸(ポリープ)、慢性副鼻腔炎 など
鼻の左右をしきる壁である鼻中隔が極端に曲がっていたり、鼻炎で鼻の粘膜が腫れていたり、鼻の中にポリープなどのできものができると、鼻の中がせまくなり、いびきが出ることがあります。また、鼻づまりや鼻水などの症状を伴うこともあります。
小顎症、肥満 など
あごが小さい小顎症や肥満によりのどがせまくなり、いびきがひどくなることがあります。
*これらの原因は単独ではなく、複数(例えば肥満の方で、扁桃肥大もある)お持ちのことが多いです。
睡眠時無呼吸症候群の診断、検査
簡易睡眠検査(アプノモニター)
指先にセンサーを装着し、睡眠中の無呼吸低呼吸の回数(AHI)や体内酸素飽和度を調べます。
(当院でも機器のレンタルができます)
精密睡眠検査(ポリソムノグラフィー)
指先だけでなく、顔や頭、お腹などにもセンサーを装着し、睡眠中の無呼吸低呼吸の回数(AHI)や体内酸素飽和度、脳波、体動などを調べます
(1泊入院する必要あり、当院では実施していないので、検査可能な病院に紹介します)
AHI:5回以上が睡眠時無呼吸症候群です。
その他
1)内視鏡検査
鼻からのどの奥まで内視鏡カメラでいびきや無呼吸の原因となる病気がないか調べます。
2)レントゲン検査、CT検査
画像を撮影していびきや無呼吸の原因となる病気がないか調べます。
*CT検査は当院では実施しておりません。必要な場合、総合病院に紹介します。
睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠中の無呼吸低呼吸の回数(AHI)により治療方針を決めます。
CPAP治療(持続陽圧呼吸療法)
狭くなったのどに鼻から気流を送って、気道がふさがらないようにする治療です。
*毎晩睡眠中に行う必要があります。
*月に1回はかかりつけ医を受診して、治療が確実にできているか確認してもらう必要があります。
*鼻づまりがあると実施しづらいので、並行して鼻の治療を行うことがあります。
*AHIが20回以上(精密検査)、40回以上(簡易検査)で保険適用されます。
口腔内装置(マウスピース)
舌や下あごを前方に固定し、舌の後の気道を広げ、気道がふさがらないようにする治療です。
*毎晩睡眠中に行う必要があります。
*マウスピースの作成は歯科で行っていますので、歯科に紹介します。
手術
1)扁桃肥大やアデノイド増殖症がある方(特にお子さん)は、扁桃摘出とアデノイド切除を行うことがあります。
2)のどちんこ(口蓋垂)の周囲が狭い方は、のどを切り広げる手術(UPPP)を行うことがあります。
3)鼻中隔弯曲症や肥厚性鼻炎がある方は、鼻の曲がった骨の切除や腫れた鼻の粘膜の切除を行うことがあります。
日常生活の注意点
◎肥満は睡眠時無呼吸症候群の危険因子です肥満の方は適切な減量が必要です。(減量が必要な方に向け、当院では管理栄養士による栄養相談を行っております)
◎生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病など)は、睡眠時無呼吸症候群の危険因子です。かかりつけの内科を受診して治療を行ってもらいましょう。
◎飲酒は睡眠時無呼吸症候群の危険因子です。適量の飲酒、寝る3~4時間前からの飲酒を控えることを心がけましょう。
◎喫煙は睡眠時無呼吸症候群の危険因子です。健康にもよくないので禁煙しましょう。
◎仰向けになると、のどの気道が狭くなりますので、なるべく横向きに寝るようにしましょう。背中に枕を置くなどして工夫するとよいです。
◎さまざまな検査や治療がありますが、その選択の際は自己判断せず、医師の診察を受け、十分に相談するようにしましょう。
◎ご紹介した内容は、いびきや睡眠時無呼吸の全てを網羅している訳ではないので、不明な点は医師にご相談ください。
機械レンタルの手順
診断には睡眠検査が必要になります。治療は、CPAPという持続陽圧呼吸療法やマウスピースの装着、ときには手術が行われます。当院でも睡眠検査を実施し、必要であればCPAP治療を開始することができますので、疑わしい症状があればご相談ください。当院でのレンタルの手順について次に記載しておりますので、以下を参考にしてください。
1)当院にて簡易睡眠検査をすると決まると、機械レンタルの手続き書類に記載していただきます。
2)数日後にレンタル機械の業者担当者様から連絡があり、機械レンタルの日程調整をさせていただきます。
3)その後、機械がご自宅に送付されます。1日レンタルして睡眠検査を行い、検査終了後に機械を業者様に送り返してください。(送付代はかかりません)
4)検査結果が当院に送られてきますので、レンタル手続きをして約3~4週間を目安に当院にご受診ください。検査結果の説明をさせていただきます。
*レンタルの費用は診療費に含まれており、保険適応です。
動画でも紹介しておりますので、ご視聴ください
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執筆・監修医師紹介
院長/医学博士
楓みみはなのどクリニック 院長 中下 陽介
経歴
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- 関西医科大学 医学部医学科 卒業
- 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 卒業
- 広島大学関連病院勤務
- 木沢記念病院 耳鼻咽喉科 副部長
- 岐阜大学医学部付属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 助教(臨床講師)
- 中濃厚生病院 頭頸部・耳鼻咽喉科 部長
- 楓みみはなのどクリニック 院長
認定・資格
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- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師