概要
頬の痛みは顔面を構成する顔面の皮膚、鼻や副鼻腔、目、歯などの病気が原因で表れます。持続的な痛みのときもあれば、間欠的(痛みが出たり出なかったりする)なときもあります。また、ズキズキする痛みやチクチクする痛み、頭痛を伴うこともあるなど、痛みの特徴はさまざまです。
頬の痛みの原因
急性副鼻腔炎
いわゆるちくのう症です。鼻や副鼻腔が細菌や真菌などにより感染し、炎症を起こして、膿性鼻漏が出てきます。副鼻腔には上顎洞や篩骨洞、蝶形骨洞、前頭洞の4つの洞穴があり、特に上顎洞に膿がたまると頬の痛みが生じます。篩骨洞では目の周りの痛み、蝶形骨洞では頭痛、前頭洞ではおでこの痛みが生じます。その他発熱や鼻づまりが生じることがあります。
鼻かぜ(急性鼻炎)
鼻かぜは鼻が細菌やウイルス感染し、鼻に炎症を引き起こして鼻の粘膜が腫れるため、副鼻腔との通り道がふさがれるために頬や鼻の奥の痛みを引き起こすことがあります。
上顎がん
副鼻腔に腫瘍ができることがあります。特に上顎洞にできることが多く、腫瘍が悪性化しますと、増殖して周囲の組織を破壊するようになり、特に前方の上顎骨を破壊すると頬の痛みや腫れが生じます。さらに増殖して目に広がると目の腫れや目の痛み、複視(ものが二重に見える)などが生じます。歯に広がると腫瘍が口の中に出てきたり、歯の痛みなどが生じます。悪性腫瘍ですので、早期診断、早期治療が特に必要になりますので、早めに耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
虫歯
虫歯によって頬の痛みが生じることがあります。特に上顎の奥歯は、歯の根元が上顎洞に近いため、虫歯になると上顎洞炎(副鼻腔炎)を引き起こしやすくなります。この場合、歯科と耳鼻咽喉科の2科で連携して治療する必要があります。
三叉神経痛
痛みが顔の片側だけにあり、ときどき激しい痛みが数秒から数分続きます。痛み以外の症状がないのが特徴です。頬を支配する三叉神経の枝が原因ですと、頬に痛みが生じることがあります。
痛みが起きる場所に軽く触れるような動作(洗顔、歯磨き、髭剃り、食事、鼻をかむなど)が引き金になることが多いです。
帯状疱疹後神経痛
水痘・帯状疱疹ウイルス感染により、帯状疱疹が発症し、皮膚の症状が消失した後も痛みが続くものをいいます。顔面(頬)に感染すると頬の痛みが生じることがあります。
顔面蜂窩織炎
皮膚と皮下脂肪が細菌感染し、皮膚が赤く腫れて、小さな赤い点々が広がり、痛みを感じるようになります。体のさまざまな部位で生じますが、顔面(頬)に感染すると頬の痛みが生じることがあります。
執筆・監修医師紹介
院長/医学博士
楓みみはなのどクリニック 院長 中下 陽介
経歴
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- 関西医科大学 医学部医学科 卒業
- 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 卒業
- 広島大学関連病院勤務
- 木沢記念病院 耳鼻咽喉科 副部長
- 岐阜大学医学部付属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 助教(臨床講師)
- 中濃厚生病院 頭頸部・耳鼻咽喉科 部長
- 楓みみはなのどクリニック 院長
認定・資格
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- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師