顔面神経麻痺|突然、顔の片側が動かない・目が閉じにくいとき
顔面神経麻痺|突然、顔の片側が動かない・目が閉じにくいとき
「朝起きたら顔の片側が動きにくい」
「口から水がこぼれる」
「片方の目が閉じにくい」
このような症状が突然現れた場合、顔面神経麻痺の可能性があります。
顔面神経麻痺は、顔の表情をつくる筋肉を動かしている「顔面神経」の働きが悪くなることで起こります。
多くの場合、顔の左右どちらか一方に症状が現れます。
顔面神経は耳の奥を通って顔へ向かっているため、顔面神経麻痺は耳鼻咽喉科が専門的に診療する病気の一つです。
そして重要なのが、
顔面神経麻痺は、できるだけ早く診断して治療を開始することです。
「少し様子を見よう」と待たず、突然顔が動かしにくくなった場合には、早めに受診してください。

顔面神経はどんな働きをしているの?
顔面神経という名前から「顔を動かす神経」というイメージがありますが、実際にはそれだけではありません。
顔面神経は、
- 目を閉じる
- 口を動かす
- 笑うなどの表情をつくる
- 舌の一部で味を感じる
- 涙や唾液の分泌に関わる
- 耳に入る大きな音を調節する
など、さまざまな働きに関係しています。
そのため顔面神経麻痺では、顔の動きだけではなく、味覚や涙、聞こえ方などにも症状が現れることがあります。
顔面神経麻痺ではどんな症状が出る?
代表的なのは、顔の片側が突然動かしにくくなることです。
例えば、
片方の目が閉じにくい
おでこにしわを寄せにくい
口角が下がる
水を飲むと口からこぼれる
うがいがしにくい
などの症状がみられます。
さらに、
- 味が分かりにくい
- 音が大きく響いて聞こえる
- 涙が出にくい
- 耳が痛い
- 耳の周囲に発疹・水疱ができる
- 聞こえにくい
- 耳鳴り
- めまい
などを伴う場合もあります。

顔面神経麻痺の主な原因
顔面神経麻痺にはいくつかの原因があります。
代表的なのが、ベル麻痺とハント症候群(Ramsay Hunt症候群)です。
ベル麻痺
顔面神経麻痺の中で最も多いタイプです。
原因を一つに断定できない特発性顔面神経麻痺ですが、現在では、体内に潜伏している単純ヘルペスウイルスの再活性化が発症に関係すると考えられています。
ハント症候群
水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって顔面神経麻痺が起こる病気です。
顔面神経麻痺に加えて、
耳の強い痛み
耳や耳の周囲の水疱
難聴
耳鳴り
めまい
などを伴うことがあります。
ただし、顔面神経麻痺が先に現れ、最初は水疱がはっきりしない場合もあるため、症状全体から判断することが重要です。
このほか、中耳炎、外傷、腫瘍などによって顔面神経麻痺が起こる場合もあります。
顔面神経麻痺では耳の診察も大切です
顔面神経は、脳から出たあと耳の奥にある骨の中を通って顔へ向かいます。
そのため、顔だけを診るのではなく、
耳の痛みがないか
耳や耳の周囲に水疱がないか
中耳炎がないか
難聴・耳鳴りがないか
めまいがないか
などを確認することも重要です。
これが、顔面神経麻痺を耳鼻咽喉科で診察する大きな理由の一つです。
顔面神経麻痺は早期治療が重要です
顔面神経麻痺では、発症してからできるだけ早く診断し、治療を開始することが重要です。
ベル麻痺については、ステロイドによる治療が推奨されています。日本の「顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年版」でも、通常量のステロイド全身投与は軽症から重症まで強く推奨されています。
海外のガイドラインでも、成人のベル麻痺について発症72時間以内のステロイド治療が強く推奨されています。
したがって、
「顔が動かないけれど、数日様子を見よう」
と待つのではなく、早めに受診することが大切です。

当院での治療
症状、発症からの期間、麻痺の程度、原因などを確認し、治療方針を決めます。
ベル麻痺などでは、ステロイドによる治療が中心となります。
症例によっては、ステロイドに加えて抗ウイルス薬を併用することがあります。顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年版でも、ベル麻痺に対するステロイド全身投与への抗ウイルス薬併用は弱く推奨されています。
糖尿病などの持病がある場合には、ステロイド治療による血糖値への影響なども考慮しながら治療を検討します。
目が閉じにくい場合は「目を守る」ことも重要です
顔面神経麻痺によってまぶたが十分に閉じられなくなると、目の表面が乾燥しやすくなります。
そのままにすると角膜を傷つける可能性があるため、目を保護することが非常に重要です。
状態に応じて点眼などの対策を行い、必要であれば眼科受診をご案内します。
眼を閉じにくい顔面神経麻痺に対する眼の保護は、診療ガイドラインでも強く推奨されています。
必要に応じて専門的な検査・病院紹介を行います
典型的なベル麻痺で、すべての患者さんに最初からMRIなどの画像検査が必要なわけではありません。
一方、
麻痺の経過が典型的ではない
徐々に悪化している
他の神経症状がある
長期間改善がみられない
腫瘍など別の原因が疑われる
といった場合には、MRIなどの詳しい検査が必要になることがあります。
当院ではMRI検査は実施していません。
必要と判断した場合には、検査・治療が可能な総合病院などへご紹介します。
顔の麻痺=すべて顔面神経麻痺とは限りません
顔の片側が動かしにくくなる症状は、顔面神経麻痺だけでなく、脳卒中など脳の病気でも起こることがあります。
特に、
手足の麻痺・しびれ
ろれつが回らない
言葉が出にくい
意識がおかしい
突然の激しい頭痛
などを伴う場合には、脳卒中などの可能性も考える必要があります。
このような場合には通常の耳鼻咽喉科受診を待たず、救急要請を含めた緊急対応が必要です。
顔面神経麻痺のリハビリについて
顔面神経麻痺では、回復の過程でリハビリテーションを行うことがあります。
ただし、顔を強く動かせば早く治るというわけではありません。
自己流で強く顔を動かしたり、過度なトレーニングをしたりするのではなく、麻痺の程度や回復段階に合わせて適切に行うことが大切です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、後遺症を予防するためのリハビリテーションの重要性を説明しています。
突然、顔が動かしにくくなったら早めに耳鼻咽喉科へ
顔面神経麻痺では、
「目が閉じにくい」
「口角が下がった」
「水が口からこぼれる」
「顔の片側が動かしにくい」
といった症状が突然現れます。
さらに、耳痛、耳の水疱、難聴、耳鳴り、めまいなどがある場合には、ハント症候群なども考える必要があります。
顔面神経麻痺は早期の診断・治療が大切です。
突然顔が動かしにくくなった場合には、「そのうち治るだろう」と様子を見すぎず、早めにご相談ください。
一宮市・尾張・西濃地域で耳・鼻・のどなどでお悩みの方へ
耳・鼻・のどなどでお困りの方は、お気軽に楓みみはなのどクリニックへご相談ください。
耳・鼻・のどの専門医が、お子さまからご高齢の方まで、一人ひとりの症状に合わせて丁寧に診察し、必要な検査・治療をご提案いたします。
楓みみはなのどクリニックでは、一宮市をはじめ、
- 江南市
- 稲沢市
- 羽島市
- 岩倉市
- 北名古屋市
- 扶桑町
- 大口町
- 小牧市
- 各務原市
など、尾張・西濃地域を中心に多くの患者さんにご来院いただいています。
耳・鼻・のどの症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
ご予約・お問い合わせ
耳・鼻・のどの病気は、症状が軽いうちから治療を開始することで、症状を軽減できる場合があります。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

📞 電話予約はこちら👉050-5213-8990
執筆・監修医師紹介

中下 陽介(なかしもようすけ)
院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医
耳・鼻・のどの症状でお困りの患者さんに安心して受診していただけるよう、一人ひとりの症状や生活背景に合わせた分かりやすい診療を心掛けています。
当院では、専門的な知識と経験を生かし、適切な検査・診断・治療をご提案しています。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
主な資格・認定
- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 嚥下トレーニング協会認定講師
- 日本レセプト学会認定レセプト管理士
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師




