溶連菌感染症|高熱・強いのどの痛みに注意
溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)という細菌によって起こる感染症です。
特にこどもに多く、代表的なものがA群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌性咽頭炎)です。
突然、
「熱が出た」
「のどをとても痛がる」
「食べたり飲んだりすると痛い」
といった症状が現れることがあります。
のどを診察すると、強い赤みや扁桃の腫れ、白い付着物などがみられることがあります。
また、舌が赤くブツブツした「いちご舌」や、細かい赤い発疹がみられることもあります。厚生労働省も、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の臨床症状として発熱・咽頭発赤・いちご舌を挙げています。

溶連菌感染症の主な症状
代表的な症状は、
- 発熱
- 強いのどの痛み
- のど・扁桃の赤みや腫れ
- 扁桃の白い付着物
- いちご舌
- 首のリンパ節の腫れ
- 細かい赤い発疹
などです。
一方で、溶連菌性咽頭炎では、一般的な風邪とは少し症状の出方が異なることがあります。
鼻水や咳が目立たず、発熱とのどの痛みが強い
という場合には、溶連菌感染症を考えるポイントの一つになります。
ただし、症状だけで溶連菌感染症と診断することはできません。
当院では溶連菌抗原検査を行っています
当院では、症状やのどの状態などから溶連菌感染症が疑われる場合に、溶連菌迅速抗原検査を行っています。
検査は「のど」から行います
お子さんに口を開けてもらい、
細い綿棒でのど・扁桃の周辺をぬぐって検体を採取
します。
厚生労働省の届出基準でも、迅速抗原検査の検査材料は咽頭拭い液とされています。
当院では鼻からではなく、のどから検体を採取します。

どんなときに溶連菌検査を行うの?
発熱やのどの痛みがある患者さん全員に検査を行うわけではありません。
例えば、
発熱がある
+
のど・扁桃が強く赤い
ことに加えて、
- 強いのどの痛みがある
- 扁桃が腫れている
- 扁桃に白い付着物がある
- 首のリンパ節が腫れている
- いちご舌がみられる
- 細かい赤い発疹がある
- 家族や園・学校などで溶連菌が流行している
といった症状・所見がある場合には、溶連菌感染症を疑います。
厚生労働省は、GAS迅速抗原検査について、急性咽頭炎の症状・身体所見があり、GAS咽頭炎が疑われる場合を適応としています。原則として3歳以上ですが、周囲で流行している場合はその限りではありません。
当院では、年齢・症状・のどの所見・周囲の流行状況などを確認して、医師が検査の必要性を判断します。
抗原検査が陰性なら溶連菌ではない?
迅速抗原検査は診断にとても役立つ検査ですが、100%ではありません。
厚生労働省の手引きでは、GAS迅速抗原検査の感度は70~90%、特異度は約95%とされています。
つまり、陽性であれば溶連菌感染症を診断するうえで非常に有用ですが、陰性でも完全には否定できません。
そのため、
検査結果だけではなく、症状・経過・のどの状態などを合わせて判断することが大切です。
溶連菌感染症の治療
溶連菌は細菌なので、溶連菌性咽頭炎と診断された場合には抗菌薬による治療を行います。
第一選択となるのは、原則としてペニシリン系抗菌薬です。
抗菌薬を適切に使用することで、症状を改善するだけでなく、周囲への感染を減らしたり、合併症を予防したりすることにつながります。
症状がよくなったからといって、自己判断で抗菌薬を中止するのは避けてください。
処方された抗菌薬は、医師から指示された期間・回数を守って服用しましょう。
家庭で気をつけること
発熱や強いのどの痛みがある間は、無理をせずゆっくり休みましょう。
のどが痛くて食べにくい場合には、
水分
ゼリー
プリン
スープ
やわらかい食事
など、飲み込みやすいものがおすすめです。
食事が十分にとれなくても、まずは脱水にならないよう水分を少しずつとることを心がけてください。
また、家族内で感染が広がることがあります。
手洗い・咳エチケット・タオルや食器の共用に注意するなど、基本的な感染対策を行いましょう。
登園・登校はいつから?
溶連菌性咽頭炎の場合には、単に解熱したかどうかだけではなく、適切な抗菌薬による治療を開始してからの時間と全身状態を考えて判断します。
一般には、
適切な抗菌薬による治療開始後24時間程度が経過し、発熱などの症状が改善し、全身状態がよければ登園・登校を検討します。
実際の登園・登校については、園・学校の規定も確認してください。
治ったあとも、こんな症状には注意してください
多くの溶連菌感染症は、適切な抗菌薬治療によって改善します。
ただし、まれに感染後に急性糸球体腎炎などの合併症を起こすことがあります。
治ったあとに、
顔やまぶたがむくむ
足がむくむ
尿の量が減る
尿が赤い・茶色い
などの症状が現れた場合には、医療機関を受診してください。
「人食いバクテリア」と同じもの?
近年ニュースで「人食いバクテリア」と呼ばれる劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が話題になることがあります。
原因となる溶血性レンサ球菌は関連しますが、一般的な子どもの溶連菌性咽頭炎と、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は同じ病態ではありません。
STSSは、まれに急速に全身状態が悪化する重篤な感染症です。厚生労働省も、通常は急性咽頭炎などを起こす溶連菌が、まれに重篤なSTSSを起こすことがあると説明しています。
通常の「のどの溶連菌」と診断されたからといって、過度に心配する必要はありません。
発熱+強いのどの痛みはご相談ください
発熱やのどの痛みは、溶連菌だけでなく、
アデノウイルス
インフルエンザ
新型コロナウイルス
その他のウイルス性咽頭炎
などでも起こります。
当院では、のどや扁桃の状態、発熱の経過、その他の症状などを確認し、溶連菌感染症が疑われる場合には、のどから溶連菌抗原検査を行っています。
「急に高い熱が出た」
「のどをとても痛がる」
「扁桃に白いものがついている」
などの場合には、ご相談ください。
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中下 陽介(なかしもようすけ)
院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医
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主な資格・認定
- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 嚥下トレーニング協会認定講師
- 日本レセプト学会認定レセプト管理士
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師




