赤ちゃんが息を吸うときゼーゼーする|喉頭軟化症の症状・検査・経過
赤ちゃんが息を吸うときゼーゼーする|喉頭軟化症の症状・検査・経過
「生まれてしばらくしてから、呼吸すると音がするようになった」
「息を吸うときにゼーゼー・ヒューヒューする」
「泣いたり、ミルクを飲んだりすると音が大きくなる」
「仰向けになると呼吸の音が目立つ」
赤ちゃんにこのような症状がみられる場合、原因の一つとして喉頭軟化症(こうとうなんかしょう)があります。
喉頭軟化症は、赤ちゃんの喉頭(こうとう)の組織がやわらかく、息を吸うときに喉頭の一部が気道側へ入り込んで、空気の通り道が狭くなる病気です。
そのため、特に息を吸うときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」「ゼロゼロ」などの音が聞こえることがあります。このような音を吸気性喘鳴(きゅうきせいぜんめい/stridor)と呼びます。喉頭軟化症は新生児・乳児の喘鳴の代表的な原因です。

喉頭軟化症とは?
喉頭は、のどの奥にある呼吸の通り道の入口です。
赤ちゃんでは、この部分を構成する組織がまだやわらかく、喉頭軟化症では息を吸うときの空気の流れによって、喉頭の上部の組織が気道側へ入り込みやすくなります。
つまり、
息を吸う
↓
喉頭のやわらかい組織が内側へ入り込む
↓
空気の通り道が一時的に狭くなる
↓
「ゼーゼー・ヒューヒュー」という音がする
という仕組みです。


こんなときに呼吸の音が強くなることがあります
喉頭軟化症の呼吸音は、常に同じ強さとは限りません。
特に、
泣いているとき
ミルク・母乳を飲んでいるとき
興奮しているとき
仰向けになったとき
などに目立つことがあります。
一方で、呼吸の音が大きい=必ず重症というわけではありません。
大切なのは音だけでなく、
呼吸が苦しそうではないか
きちんとミルクを飲めているか
むせていないか
体重が増えているか
顔色が悪くならないか
などを一緒に確認することです。重症度の評価では、気道症状だけでなく哺乳・成長への影響も重要です。
多くは成長とともに改善します
「赤ちゃんの呼吸から音がする」と、保護者の方はとても心配になると思います。
しかし、喉頭軟化症の多くは軽症~中等症で、赤ちゃんの成長とともに喉頭がしっかりしてくることで、自然に症状が改善していきます。
多くは生後12~24か月ごろまでに症状が改善するとされています。
そのため、呼吸状態や哺乳、体重増加に問題がない軽症例では、定期的に状態を確認しながら経過をみることが基本となります。
「音」だけではなく、哺乳と体重を確認しましょう
喉頭軟化症で特に重要なのが、赤ちゃんがきちんと飲めて、成長できているかです。
哺乳中に、
- すぐに疲れてしまう
- 何度も休みながら飲む
- むせる
- 咳き込む
- 飲む量が少ない
- 呼吸が苦しそうになる
などがないか確認します。
喉頭軟化症では哺乳に関する問題を伴うことがあり、重症例では体重増加不良につながることがあります。
母子手帳などで体重の増え方を確認することも、とても大切です。

鼻から細い内視鏡で喉頭を確認します
喉頭軟化症が疑われる場合、耳鼻咽喉科では症状や呼吸状態を確認したうえで、必要に応じて細い内視鏡で鼻から喉頭を観察します。
内視鏡では、
喉頭の形
息を吸ったときの喉頭の動き
声帯の動き
気道の狭まり方
などを確認します。
喉頭軟化症の診断には、柔軟な内視鏡による喉頭観察が重要です。
当院では、細径の内視鏡を使用し、小さなお子さんにもできるだけ負担の少ない検査を心がけています。
とした方が患者さんへの表現として適切です。

重症の場合は専門医療機関での治療が必要です
多くの喉頭軟化症は自然に改善しますが、すべてが経過観察だけでよいわけではありません。
特に、
呼吸が明らかに苦しそう
胸や首が呼吸のたびに大きくへこむ
無呼吸がある
顔色・唇の色が悪くなる
ミルクを十分飲めない
むせ・誤嚥が疑われる
体重が十分に増えない
などがある場合は、重症の可能性があります。重症例では呼吸障害、無呼吸、哺乳障害、成長障害などがみられ、外科的治療が必要になる場合があります。
そのような場合には、高次医療機関・小児専門医療機関へ紹介して詳しく評価します。
手術が必要になることもあります
重症の喉頭軟化症では、専門医療機関で声門上形成術(supraglottoplasty)という手術が検討されることがあります。
これは、喉頭の上部で気道を狭くしている組織を処置して、空気の通り道を確保する手術です。
ただし、手術が必要なのは一部の重症例です。
多くの赤ちゃんは保存的に経過をみることができます。
鼻水や風邪で呼吸音が目立つことも
赤ちゃんが風邪をひいて鼻水や分泌物が増えると、もともとの呼吸音がさらに目立ったり、哺乳しづらくなったりすることがあります。
特に赤ちゃんは鼻呼吸が重要なため、鼻づまりが強い場合には鼻のケアも大切です。
当院では、必要に応じて鼻水や分泌物の吸引などを行い、鼻・のどの状態を確認し、症状に応じて鼻の処置を行います。
こんな症状があれば早めに受診してください
次のような場合には、「いつものゼーゼーだから」と様子をみすぎず、早めに医療機関へ相談してください。
呼吸が明らかに苦しそう
胸や首が大きくへこみながら呼吸する
唇や顔色が青白い・紫色になる
呼吸が止まるようなことがある
ミルク・母乳を十分飲めない
飲むと強くむせる
体重が増えない
ぐったりしている
特に、顔色が悪い、呼吸が止まる、強い呼吸困難がある場合は、通常の外来受診を待たず緊急の医療評価が必要です。
赤ちゃんの「ゼーゼー」は原因を確認することが大切です
赤ちゃんの呼吸音には、さまざまな原因があります。
喉頭軟化症は代表的な原因の一つですが、呼吸音だけで喉頭軟化症と判断することはできません。
大切なのは、
どんな音なのか
息を吸うときか、吐くときか
いつ強くなるのか
哺乳できているか
呼吸が苦しくないか
体重が増えているか
を確認することです。
「生まれてから呼吸の音が気になる」「ミルクを飲むとゼーゼーする」など、赤ちゃんの呼吸で気になることがあれば耳鼻咽喉科へご相談ください。
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執筆・監修医師紹介

中下 陽介(なかしもようすけ)
院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医
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当院では、専門的な知識と経験を生かし、適切な検査・診断・治療をご提案しています。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
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- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 嚥下トレーニング協会認定講師
- 日本レセプト学会認定レセプト管理士
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師




