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癒着性中耳炎とは?|耳のつまり・聞こえにくさの原因・検査・治療

「耳がつまった感じが続いている」「最近、聞き返すことが増えた」「子どもの頃に中耳炎を何度もくり返した」――このような方は、癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)の可能性があります。

癒着性中耳炎は痛みが少なく、ゆっくり進むため、気づかないうちに聞こえが落ちていることがある病気です。早めに鼓膜の状態を確認し、進行を防ぐことが、将来の聞こえを守ることにつながります。

癒着性中耳炎とは?

癒着性中耳炎とは、鼓膜が内側へ引き込まれた状態が続き、鼓膜が中耳の奥の壁や耳小骨(音を伝える小さな骨)にくっついてしまう病気です。鼓膜は音の振動を受けて内耳へ伝える役割をしていますが、癒着すると鼓膜が十分に動かなくなり、音が伝わりにくくなります。

痛みや発熱などの目立つ症状が少ないため、発見が遅れやすい点が特徴です。

癒着性中耳炎の主な症状

癒着性中耳炎の主な症状は、耳のつまった感じと聞こえにくさです。

  • 耳がつまった感じ(耳閉感)、こもった感じ
  • 聞こえにくさ、聞き返しが増える
  • 耳鳴り
  • かぜをひいたときに耳の不調が強くなる

初期は耳のつまった感じが中心で、日常生活に支障が少ないため受診が遅れがちです。進行すると聞こえにくさがはっきりしてきます。

癒着性中耳炎の原因

癒着性中耳炎の主な原因は、耳管(じかん)の働きが低下し、中耳の中の圧力が外より低い状態が続くことです。耳管は鼻の奥と中耳をつなぐ管で、中耳の空気の圧力を外と同じに保っています。耳管の働きが弱いと中耳の圧力が下がり、鼓膜が少しずつ内側へ引き込まれます。この状態が長く続くと、鼓膜が奥の壁に接して癒着します。

癒着性中耳炎につながりやすい病気・背景

受診の目安

次のような症状がある場合は、耳鼻咽喉科で鼓膜の状態を確認してください。

  • 耳のつまった感じが2週間以上続く
  • 聞こえにくさが少しずつ進んでいる、または周りから指摘される
  • 滲出性中耳炎の治療中、または治療を途中でやめたままになっている
  • くさいにおいの耳だれが出る

くさい耳だれ、めまい、顔が動かしにくいといった症状がある場合は、真珠腫性中耳炎などへ進んでいる可能性があるため、早めに受診してください。

耳鼻咽喉科で行う検査

当院では、次の検査で鼓膜と聞こえの状態を確認します。

  • 顕微鏡・内視鏡による鼓膜の観察(引き込みや癒着の範囲を確認し、画面で一緒にご覧いただけます)
  • 聴力検査(どの程度聞こえが落ちているかを確認)
  • ティンパノメトリー(鼓膜の動きや中耳の圧力を調べる検査)
  • 耳管の働きを調べる検査
  • 鼻やのどの奥の内視鏡検査(耳管の入り口周辺に原因がないかを確認)

手術を検討する場合など、詳しい評価が必要なときは、連携医療機関でCT検査を行います。

癒着性中耳炎の治療

癒着性中耳炎の治療は、進行の程度によって異なり、まずは耳管の働きを妨げている原因への治療と経過観察が基本です。

  • アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、鼻の病気の治療
  • 耳に空気を送る通気治療(状態に応じて行います)
  • 定期的な鼓膜の観察と聴力検査で、進行していないかを確認
  • 聞こえにくさが強い場合は、補聴器の検討(補聴器外来)

癒着が広く進んでいる場合や、真珠腫性中耳炎へ進むおそれがある場合は、鼓膜や中耳を整える手術(鼓室形成術など)を検討し、専門医療機関へご紹介します。手術後も再び引き込まれることがあるため、継続した経過観察が大切です。

癒着性中耳炎を放置するリスク

癒着性中耳炎を放置すると、聞こえにくさが固定して戻りにくくなることがあります。癒着が長く続くと耳小骨の動きにも影響し、回復が難しくなる場合があります。

また、引き込まれた鼓膜のくぼみに耳あかのようなものがたまり、真珠腫性中耳炎へ進むことがあります。真珠腫性中耳炎は周囲の骨を壊しながら進むため、より慎重な治療が必要です。軽い違和感の段階で受診し、定期的に確認することが大切です。

日常生活での注意点・予防

  • 鼻炎や副鼻腔炎をきちんと治療し、耳管の働きを保つ
  • かぜを長引かせない
  • 鼻を強くかまず、片方ずつやさしくかむ
  • 鼻をすする癖を控える(中耳の圧力が下がりやすくなります)
  • 禁煙し、受動喫煙を避ける
  • 滲出性中耳炎と診断されたら、治療と通院を途中でやめない

癒着性中耳炎についてよくある質問

Q. 癒着性中耳炎は自然に治りますか?

A. 一度癒着した鼓膜が自然に元に戻ることは多くありません。ただし、鼻の治療などで耳管の働きを整えることで、進行を抑えられる場合があります。定期的に鼓膜と聞こえの状態を確認しましょう。

Q. 必ず手術が必要ですか?

A. いいえ。聞こえの低下が軽く、進行がない場合は、経過観察と鼻の治療で様子をみることが多くあります。癒着が広がっている場合や真珠腫性中耳炎へ進むおそれがある場合に、手術を検討します。

Q. 子どもでもなりますか?

A. はい。滲出性中耳炎が長引いたお子さんに起こることがあります。「呼んでも振り向かない」「テレビの音が大きい」などの様子があれば、早めにご相談ください。

Q. 飛行機に乗っても大丈夫ですか?

A. 多くの場合は問題ありませんが、気圧の変化で耳の痛みやつまった感じが強くなることがあります。かぜや鼻づまりがあるときは特に注意が必要です。予定がある方は事前にご相談ください。

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執筆・監修医師紹介

院長 中下陽介

中下 陽介(なかしもようすけ)

院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医

耳・鼻・のどの症状でお困りの患者さんに安心して受診していただけるよう、一人ひとりの症状や生活背景に合わせた分かりやすい診療を心掛けています。

当院では、専門的な知識と経験を生かし、適切な検査・診断・治療をご提案しています。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

主な資格・認定

  • 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医
  • 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 嚥下トレーニング協会認定講師
  • 日本レセプト学会認定レセプト管理士
  • 博士(医学)広島大学
  • 補聴器適合判定医師

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