咳喘息|風邪のあとに咳だけが長引く原因・症状・治療
咳喘息|風邪のあとに咳だけが長引く原因・症状・治療
「風邪は治ったのに咳だけが残っている」
「夜や朝方になると咳が出る」
「話したり、冷たい空気を吸ったりすると咳が出る」
「何週間も咳が続いている」
このような長引く咳の原因の一つに「咳喘息(せきぜんそく)」があります。
咳喘息は、気管支喘息と同じように気道に炎症があり、刺激に対して気道が敏感になっている状態です。
一方で、典型的な気管支喘息のような「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴が目立たず、咳が主な症状となることが特徴です。
ただし、長引く咳の原因は咳喘息だけではありません。
感染後咳嗽、鼻副鼻腔炎や後鼻漏、アトピー咳嗽、胃食道逆流症など、さまざまな病気で咳が続くことがあります。日本呼吸器学会の2025年版ガイドラインでも、遷延性・慢性咳嗽について多くの原因疾患を鑑別する構成になっています。

咳喘息とは?
咳喘息は、咳を主症状とする喘息の一つです。
気道に炎症があり、通常より刺激に敏感になっているため、ちょっとした刺激でも咳が起こりやすくなります。
典型的な喘息では、
「ゼーゼー」
「ヒューヒュー」
「息苦しい」
などがみられますが、咳喘息ではこのような症状が目立たず、咳だけが続くことがあります。
風邪などの呼吸器感染をきっかけとして咳が長引き、受診される方もいます。
咳喘息ではどんな咳が出る?
咳喘息では、痰があまり出ない乾いた咳が続くことがあります。
また、
- 夜間・早朝
- 冷たい空気
- 季節の変わり目
- 会話
- 運動
- タバコの煙
- 香水などの強いにおい
などをきっかけに咳が出たり、強くなったりすることがあります。
「風邪はもう治ったはずなのに、咳だけなかなか治らない」という場合には、単なる風邪以外の原因も考える必要があります。

「長引く咳=咳喘息」ではありません
長引く咳には、さまざまな原因があります。
たとえば、
感染後咳嗽
風邪などの感染症が治ったあとも咳がしばらく残ることがあります。
鼻副鼻腔炎・後鼻漏
鼻水がのどへ流れることなどが咳に関係する場合があります。
アトピー咳嗽・喉頭アレルギー
胃食道逆流症
気管支喘息
薬剤による咳
などです。さらに、頻度は高くありませんが、肺炎、結核、間質性肺炎、胸部腫瘍などを考慮しなければならない場合もあります。日本呼吸器学会の最新ガイドラインでも、これらを含めた幅広い原因疾患から咳を診断する考え方が示されています。
そのため、咳が続くという症状だけで咳喘息と決めつけることはできません。
耳鼻咽喉科では「鼻・のど」も確認します
長引く咳で耳鼻咽喉科を受診するメリットの一つは、鼻からのどまで確認できることです。
咳の原因が気管支だけにあるとは限りません。
特に、
「鼻水がのどへ流れる」
「鼻づまりがある」
「痰がのどに絡む」
「のどがイガイガして咳が出る」
といった症状がある場合には、鼻副鼻腔炎、後鼻漏、アレルギーなど上気道の病気が咳に関係していないか確認します。
必要に応じて鼻やのどを診察し、咳の原因を総合的に考えます。
咳喘息はどのように診断する?
咳喘息では、まず咳の特徴を詳しく確認することが大切です。
例えば、
いつから咳が続いているか
昼と夜のどちらに多いか
夜中・早朝に咳が出るか
風邪のあとから続いているか
運動や冷気で咳が出るか
鼻水・後鼻漏があるか
胸やけがあるか
喘鳴や息苦しさがあるか
などを確認します。
診察や経過から咳喘息が疑われる場合には、必要に応じて呼吸機能検査や気道炎症に関する検査などが検討されます。
当院で対応できない呼吸器の精密検査や画像検査が必要と判断した場合には、呼吸器内科など専門医療機関へご紹介します。
咳喘息の治療
咳喘息は、単に咳を止めるだけではなく、気道の炎症を治療することが重要です。
中心となるのが吸入薬による治療です。
現在の喘息診療ガイドラインでは、咳喘息の治療原則は典型的な喘息と同様とされ、吸入ステロイド(ICS)を含む治療が重要な位置を占めています。
症状や患者さんの状態によって、
吸入ステロイド薬
気管支拡張薬を含む吸入薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬
などを検討します。
薬の種類や治療期間は、症状や経過によって異なります。

吸入薬は正しく使うことが大切です
吸入薬は、処方されただけで十分なのではなく、正しい方法で吸入することが重要です。
吸入方法が適切でないと、薬が十分に気道へ届かず、本来の効果が得られにくくなることがあります。
また、吸入ステロイド薬を使用する場合には、薬剤・デバイスに応じた適切な使用方法や吸入後のうがいなどについて説明を受けましょう。
咳が長引くときは再評価が必要です
治療をしていても咳が改善しない場合には、
「本当に咳喘息なのか」
「別の原因が重なっていないか」
をもう一度確認することが重要です。
例えば、咳喘息と鼻副鼻腔炎、後鼻漏、胃食道逆流などが同時に存在している場合もあります。
咳止めだけを長期間続けるのではなく、咳が続いている原因を考えながら治療することが大切です。
こんな咳は早めに医療機関へ
咳だけでなく、
息苦しさが強い
呼吸するとゼーゼー・ヒューヒューする
高熱が続く
血の混じった痰が出る
胸の痛みがある
急激に症状が悪化した
などがある場合には、咳喘息以外の病気も含めて評価する必要があります。
症状が強い場合には、早めに医療機関を受診してください。
風邪のあとに咳だけが続くときはご相談ください
「風邪は治ったのに咳だけ続く」
という症状は珍しくありません。
しかし、その原因は咳喘息だけではなく、感染後咳嗽、鼻副鼻腔炎・後鼻漏、アレルギー、胃食道逆流などさまざまです。
耳鼻咽喉科では、鼻・のどを含めて咳の原因を確認できるという特徴があります。
症状や診察から呼吸器疾患の精密検査が必要と判断した場合には、呼吸器内科などへご紹介します。
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執筆・監修医師紹介

中下 陽介(なかしもようすけ)
院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医
耳・鼻・のどの症状でお困りの患者さんに安心して受診していただけるよう、一人ひとりの症状や生活背景に合わせた分かりやすい診療を心掛けています。
当院では、専門的な知識と経験を生かし、適切な検査・診断・治療をご提案しています。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
主な資格・認定
- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 嚥下トレーニング協会認定講師
- 日本レセプト学会認定レセプト管理士
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師





