高血圧だと鼻血が出やすい?鼻出血と血圧の関係を耳鼻咽喉科医が解説

「突然鼻血が出た。血圧が高いせいでしょうか?」
鼻出血で耳鼻咽喉科を受診された患者さんから、よく聞かれる質問です。
特に中高年の方では、鼻血が出たときに血圧を測ってみると、普段よりかなり高くなっていて驚くことがあります。
では、高血圧になると鼻血が出やすくなるのでしょうか?
実は、高血圧と鼻出血の関係はそれほど単純ではありません。
「血圧が高い=鼻血が出る」とは限りません
まず知っておいていただきたいのは、高血圧そのものが鼻出血の直接的な原因になるとは限らないということです。
鼻出血の多くは、鼻の中の粘膜にある細い血管が傷つくことで起こります。
特に鼻の入口から少し入った鼻中隔には血管が多く集まるキーゼルバッハ部位があり、鼻出血の代表的な出血部位です。
鼻を強くかむ、鼻をいじる、乾燥、アレルギー性鼻炎などによる刺激でも出血することがあります。
そのため、
「鼻血が出た=高血圧が原因」
と考えるのは正確ではありません。
鼻血が出たときに血圧が高くなることもあります
「鼻血が出て血圧を測ったら180mmHgもありました」
このような場合、必ずしも「血圧が180mmHgになったから鼻血が出た」とは限りません。
突然出血すると、
「こんなに血が出て大丈夫だろうか?」
「止まらなかったらどうしよう」
と不安になります。
さらに、病院を受診すること自体への緊張や、処置による痛みなどによって交感神経が活発になり、一時的に血圧が上昇することがあります。
つまり、
高血圧 → 鼻出血
だけではなく、
鼻出血 → 不安・緊張 → 血圧上昇
ということも考える必要があります。
では、高血圧と鼻出血は関係ないのでしょうか?
まったく関係がないわけではありません。
研究によって結果には違いがありますが、高血圧のある方では鼻出血による医療機関受診や、より積極的な止血処置が必要になる割合が高かったという報告があります。
特に中高年になると動脈硬化などによって血管の性質も変化します。
そのため高血圧のある方で鼻出血を繰り返す場合には、鼻だけを見るのではなく、血圧が適切に管理されているか確認することも大切です。
高齢者の鼻出血は若い人と少し違います
子どもや若い方の鼻血は、鼻の入口に近いキーゼルバッハ部位から出血することが多く、圧迫によって止まるケースが多くあります。
一方、中高年では、より鼻の奥から出血することもあります。
鼻の奥からの出血では、
「鼻からあまり血が出ないのに、のどへ血が流れてくる」
ということがあります。
このような鼻出血では出血部位が分かりにくく、止血処置が必要になることがあります。
血液をサラサラにする薬にも注意
高齢者では、高血圧だけでなく心房細動、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの治療を受けている方も少なくありません。
その際、
抗凝固薬や抗血小板薬、いわゆる「血液をサラサラにする薬」
を服用していることがあります。
これらの薬は鼻出血の原因そのものとは限りませんが、一度出血すると止まりにくくなることがあります。
ただし、鼻血が出たからといって、これらの薬を自己判断で中止してはいけません。
中止すると脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まる場合があります。必ず処方している医師に相談してください。
鼻血が出たらどうすればいい?

まず慌てずに、椅子に座って少し前かがみになります。
そして、鼻骨の硬い部分ではなく、小鼻の柔らかい部分を左右からしっかりつまみます。
そのまま途中で何度も確認せず、10~15分程度連続して圧迫してください。
ティッシュを鼻の奥まで何枚も詰めるのはおすすめできません。抜く際に再び粘膜を傷つけ、再出血することがあります。
また、上を向くとのどへ血液が流れ込みますので、鼻血が出たときに上を向く必要はありません。
こんな鼻血は耳鼻咽喉科へ

圧迫しても出血が止まらない場合や、一度止まっても何度も繰り返す場合には耳鼻咽喉科を受診してください。
特に、
- 10~15分しっかり圧迫しても出血が続く
- 出血量が多い
- 血が次々とのどへ流れてくる
- 鼻血を何度も繰り返す
- 血液をサラサラにする薬を服用している
- めまい、ふらつき、動悸などを伴う
といった場合には注意が必要です。
出血が非常に多い、意識がおかしい、呼吸が苦しいなどの場合には、通常の外来受診ではなく救急対応が必要です。
鼻血とともに血圧が非常に高かったら?
鼻出血時に血圧を測定して、非常に高い値が出ることがあります。
ただし、先ほど説明したように、鼻血への不安や緊張によって一時的に血圧が上昇している可能性があります。
まず鼻出血を適切に止血し、落ち着いた状態で改めて血圧を測定しましょう。
一方、著しく高い血圧に加えて、激しい頭痛、胸痛、息苦しさ、意識の異常、手足の麻痺・脱力、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、緊急性の高い状態の可能性があります。
その場合は鼻血だけの問題と考えず、速やかに救急医療機関を受診してください。
鼻出血を繰り返さないために
鼻血を繰り返す方では、鼻の中を乾燥させないことも大切です。
特に秋から冬は空気が乾燥し、鼻粘膜が傷つきやすくなります。
鼻を強くかまない、鼻を触りすぎない、室内を適度に加湿するなどを心がけましょう。
アレルギー性鼻炎があり、鼻水・鼻づまり・くしゃみのため頻繁に鼻をかんでいる方では、アレルギー性鼻炎をきちんと治療することが鼻出血予防につながることもあります。
また、高血圧を指摘されている方は、鼻血の有無にかかわらず、家庭血圧を測定して適切に管理することが重要です。
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耳鼻咽喉科では出血している場所を確認します
鼻出血が止まらない場合、耳鼻咽喉科では鼻の中を観察して出血している場所を探します。
出血点を確認できれば、状態に応じて薬剤、圧迫、電気凝固などによる止血処置を行います。
特に「何度も同じ側から鼻血が出る」「最近急に鼻血が増えた」という場合には、単なる乾燥や高血圧だけと決めつけず、鼻の中に出血の原因となる病変がないか確認することも大切です。
「高血圧だから鼻血が出た」と決めつけないことが大切です
高血圧と鼻出血には関連がみられることがありますが、
「血圧が高くなったから血管が破れて鼻血が出る」
と単純に考えるのは正確ではありません。
鼻出血そのものへの不安や緊張によって血圧が一時的に上昇することもあります。
一方、高血圧がある方の鼻出血では止血に難渋することもあるため、鼻の診察と血圧管理の両方が重要です。
鼻血を繰り返す、なかなか止まらない、のどへ大量に血液が流れるといった場合には、耳鼻咽喉科で出血部位を確認してもらいましょう。
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執筆・監修医師紹介

中下 陽介(なかしもようすけ)
院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医
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当院では、専門的な知識と経験を生かし、適切な検査・診断・治療をご提案しています。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
主な資格・認定
- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 嚥下トレーニング協会認定講師
- 日本レセプト学会認定レセプト管理士
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師




