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高齢者の高血圧|「年齢が高いから血圧も高くていい」は本当?

「年をとったら血圧が高くなるのは仕方がない」

「高齢者は血圧をあまり下げない方がいいのでは?」

このように考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、高血圧をそのままにしていると、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などのリスクが高くなります。さらに、認知症の発症リスクとも関連することが分かっています。

特に高齢になると血管が硬くなり、上の血圧(収縮期血圧)が高くなりやすくなります。

健康で長く生活するためには、年齢にかかわらず血圧を適切に管理することが大切です。

高齢者でも目標は「130/80mmHg未満」

日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧治療を受ける方の目標として、原則として年齢にかかわらず、

診察室血圧:130/80mmHg未満

家庭血圧:125/75mmHg未満

を目指すことが示されています。

ただし、「すべての人が無理をしてこの数値まで下げればよい」という意味ではありません。

高齢者では、血圧を下げることによって、

  • 立ちくらみ・ふらつき
  • 転倒
  • 脱水
  • 起立性低血圧
  • 腎機能の悪化

などが起こる可能性があります。

そのため、体調や持病、服用している薬などを確認しながら、一人ひとりに合わせて安全に血圧を下げていくことが重要です。

「高血圧の基準」と「治療の目標」は違います

「130/80mmHg未満」という数字は、基本的には高血圧そのものを診断する基準ではなく、治療を行う際の降圧目標です。

診察室血圧では、

140/90mmHg以上が高血圧

家庭血圧では、

135/85mmHg以上が高血圧

に該当します。

一方、「健康的な血圧値(正常血圧)」は、診察室血圧120/80mmHg未満、家庭血圧115/75mmHg未満とされています。

つまり、

「140を超えていないから何も気にしなくていい」というわけではありません。

130mmHg台であっても、生活習慣を見直し、将来の高血圧を予防することが大切です。

高齢者は「上の血圧」が高くなりやすい

年齢を重ねると血管の弾力性が低下し、動脈が硬くなってきます。

その結果、

上の血圧は高いのに、下の血圧はそれほど高くない

という状態がみられることがあります。

例えば、

「上が155mmHg、下が72mmHg」

といった血圧です。

このような状態も、「下の血圧が正常だから大丈夫」と考えるのではなく、上の血圧を含めて評価する必要があります。

家庭血圧を測りましょう

血圧は常に同じではありません。

緊張、睡眠、気温、運動、食事、飲酒、体調などによって変化します。そのため、診察室で1回血圧を測るだけでは、普段の血圧の状態が十分に分からないことがあります。

そこで大切なのが家庭血圧です。

日本高血圧学会も家庭で血圧を測定することを推奨しています。

特におすすめしたいのが、

「朝」と「夜」の血圧測定

です。

毎日できるだけ同じ条件で測定し、血圧手帳やスマートフォンなどに記録しておきましょう。

診察を受ける際にその記録を持参すると、普段の血圧の状態を医師が判断するうえで非常に役立ちます。

秋から冬は「朝の血圧」に注意

気温が低下すると血管が収縮し、血圧が上昇しやすくなります。

特に高齢者では、

寒い朝に急に起き上がる

暖かい部屋から寒い廊下やトイレへ移動する

寒い脱衣所で服を脱ぐ

といった場面で血圧が大きく変動することがあります。

秋から冬にかけては、夏と同じ薬を服用していても血圧が高くなることがありますので、家庭血圧を確認する習慣をつけましょう。

反対に、夏場には発汗や脱水などによって血圧が低下する場合があります。

季節によって血圧が変化する方は、自己判断で薬を増減せず、医師に相談してください。

高血圧対策は「薬だけ」ではありません

高血圧の予防・治療では、毎日の生活習慣も重要です。

特に意識したいのは、減塩、適度な運動、適正体重の維持、十分な睡眠、節酒、禁煙などです。

ただし、高齢者では「血圧が高いから」といって食事量まで極端に減らしてしまうことはおすすめできません。

食欲が低下している高齢者では、低栄養や筋力低下(サルコペニア)につながる可能性があります。

大切なのは、しっかり食べながら塩分を減らすことです。

例えば、だし・酢・レモン・香辛料・香味野菜などを利用すると、塩分を減らしても食事を楽しみやすくなります。

血圧の薬は自己判断で中止しないでください

「最近、血圧が正常になったから」

「夏になって血圧が下がったから」

といって、処方されている降圧薬を自己判断で中止することは避けましょう。

血圧が正常なのは、薬が効いているためかもしれません。

反対に、ふらつきや立ちくらみがある場合には、薬の調整が必要なこともあります。

家庭血圧の記録を持参し、医師に相談しましょう。

耳鼻咽喉科でも血圧は無関係ではありません

高血圧は内科の病気というイメージが強いかもしれませんが、耳鼻咽喉科を受診される症状の中にも血圧と関連して考える必要があるものがあります。

例えば、めまい・ふらつきで受診された方では、血圧そのものだけでなく、急な血圧変動や起立性低血圧、服用している降圧薬などを確認することがあります。

また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧と深い関係があります。いびきや睡眠中の無呼吸を繰り返すことで交感神経が活性化し、血圧管理を難しくすることがあります。

「薬を飲んでいるのになかなか血圧が下がらない」という方で、

大きないびきがある

睡眠中に呼吸が止まると言われる

昼間に強い眠気がある

という場合には、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することも重要です。

また、中高年になると動脈硬化などによって血管の性質も変化します。

高血圧により鼻の毛細血管が破れやすくなり、頻繁な鼻出血の原因となることがあります。

そのため高血圧のある方で鼻出血を繰り返す場合には、鼻だけを見るのではなく、血圧が適切に管理されているか確認することも大切です。

めまい・ふらつきについてはこちら

👉めまい・ふらつき外来

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👉いびき・睡眠時無呼吸外来

👉鼻出血について詳しくはこちら

高齢になっても血圧管理は大切です

「高齢だから血圧が高くても仕方がない」というわけではありません。

高血圧を適切に管理することは、脳卒中、心臓病、腎臓病などを予防し、健康寿命を延ばすために重要です。

① 朝・夜に家庭血圧を測る
② 血圧を記録する
③ 減塩を意識しながら、しっかり食べる
④ 適度な運動と十分な睡眠を心がける
⑤ 薬を自己判断で中止しない
⑥ ふらつきや立ちくらみがあれば医師に相談する

この6つを意識してみましょう。

特に、めまい・ふらつきがある方や、いびき・睡眠時無呼吸が気になる方では、血圧との関係も含めて考えることが大切です。

参考

本記事は、日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」および日本高血圧学会の一般向け情報を参考に作成しています。

👉日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドラインについて詳しくはこちら

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中下 陽介(なかしもようすけ)

院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医

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