口の中が痛い原因はヘルペス口内炎かも?症状と受診の目安
口の中に痛みがあると、食事や会話、歯みがきなど、日常の何気ない動作がつらく感じられます。小さな口内炎に見えても、原因によっては痛みが強く、発熱や食欲低下を伴うことがあります。特にお子さんの場合は、口の痛みをうまく伝えられず、食べたがらない、飲み物を嫌がる、よだれが増える、機嫌が悪いといった変化で気づくこともあります。
口内炎にはさまざまな種類があり、疲れや刺激によるものだけでなく、ウイルス感染によって起こるものもあります。ヘルペス口内炎は、単純ヘルペスウイルスが原因で起こる口内炎です。口の中に複数のただれができたり、歯ぐきが赤く腫れたりすることがあり、症状によっては耳鼻咽喉科での診察が必要になります。
ヘルペス口内炎とは
ヘルペス口内炎とは、単純ヘルペスウイルスの感染によって、口の中や唇のまわりに炎症が起こる病気です。医学的には「ヘルペス性歯肉口内炎」と呼ばれることもあります。舌、頬の内側、歯ぐき、上あご、唇の内側などに小さな水ぶくれやただれができ、強い痛みを伴うことがあります。
一般的なアフタ性口内炎は、白っぽい潰瘍が数か所にできることが多いのに対し、ヘルペス口内炎では口の中の広い範囲に症状が出る場合があります。歯ぐきが腫れて出血しやすくなる、口臭が強くなる、発熱を伴うといった症状がみられることもあります。
ヘルペス口内炎の原因
ヘルペス口内炎の主な原因は、単純ヘルペスウイルス1型です。ウイルスを含む唾液や水ぶくれの中の液体、ただれた部分との接触によって感染します。キスなどの直接的な接触だけでなく、コップ、箸、スプーン、タオルなどの共有を通じてうつることもあります。
一度感染したウイルスは、症状が落ち着いた後も体内の神経に潜伏します。その後、発熱、疲労、睡眠不足、ストレス、紫外線、口元の乾燥、免疫力の低下などをきっかけに再び活動し、症状が出ることがあります。風邪や疲れそのものが原因というより、体の抵抗力が落ちたときにウイルスが活動しやすくなると考えられます。
ヘルペス口内炎の主な症状
ヘルペス口内炎では、口の中の痛み、歯ぐきの腫れ、発熱、だるさ、食欲低下、よだれの増加、首のリンパ節の腫れなどがみられます。水ぶくれは破れると浅いただれになり、食べ物や飲み物がしみやすくなります。特に酸味のあるものや熱いもの、硬いものは痛みを強く感じやすくなります。
小さなお子さんでは、食事を嫌がる、口を開けたがらない、泣いて水分をとれないといった様子がみられることがあります。大人の場合も、口の中の違和感や唇のピリピリ感から始まり、その後に水ぶくれやただれが出ることがあります。痛みが強いと水分の摂取量が減り、脱水につながることがあるため注意が必要です。
耳鼻咽喉科で行う診察
耳鼻咽喉科では、口の中だけでなく、舌、歯ぐき、唇、のど、扁桃、首のリンパ節まで確認します。あわせて、発熱があるか、いつから症状が出ているか、食事や水分がとれているか、周囲に同じような症状の人がいるかなども確認します。こうした情報は、原因を見極めるうえで大切です。
ヘルペス口内炎に似た病気には、アフタ性口内炎、手足口病、ヘルパンギーナ、カンジダ性口内炎、扁桃炎などがあります。見た目だけでは判断が難しい場合もあるため、症状の出方や経過、全身の状態を含めて確認し、治療を検討します。
治療について
ヘルペス口内炎の治療では、症状の程度に応じて抗ウイルス薬、解熱鎮痛薬、口の痛みをやわらげる薬などを使用します。ウイルスが原因のため、細菌感染に使う抗菌薬だけで治す病気ではありません。症状が軽い場合は、痛みや発熱を抑えながら経過を見ることもあります。
抗ウイルス薬は、症状が出てから早い時期に使うことで効果が期待しやすくなります。ただし、薬が必要かどうかは、年齢や症状の強さ、発症からの時間によって異なります。自己判断で以前の薬を使ったり、市販薬だけで長く様子を見たりせず、痛みが強い場合や水分がとれない場合は早めに受診してください。
家庭で気をつけること
家庭では、口にしみる食べ物を避け、やわらかく刺激の少ないものを選びます。熱い料理、酸味の強い果物やジュース、香辛料の強い食べ物、硬い食品は痛みを強めることがあります。冷ましたスープ、ゼリー、ヨーグルト、豆腐、茶碗蒸しなど、口当たりのよいものを少量ずつ試すと食べやすくなります。
食事が十分にとれなくても、水分がとれていれば慌てすぎる必要はありません。ただし、水分も嫌がる、尿の回数が少ない、ぐったりしている、口や唇の乾燥が強い場合は脱水の可能性があります。症状がある間は、食器やタオルの共有を避け、口元に触れた後は手洗いを行い、家庭内での感染を防ぎます。
受診の目安と再発予防
水分がとれない、発熱が続く、痛みで眠れない、口の中全体にただれが広がっている、症状が長引いている場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。乳幼児、高齢の方、妊娠中の方、免疫力が低下している方、持病がある方は、症状が軽く見えても早めに相談すると安心です。
再発を防ぐためには、睡眠不足や疲労をためないこと、口元の乾燥を防ぐこと、体調を崩したときに無理をしないことが大切です。唇や口の周囲にピリピリ感、かゆみ、熱っぽさなどの前ぶれを感じる方もいます。繰り返す場合は、症状が出たタイミングや体調の変化を記録し、耳鼻咽喉科で相談すると治療方針を立てやすくなります。
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執筆・監修医師紹介

中下 陽介(なかしもようすけ)
院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医
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主な資格・認定
- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
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- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 嚥下トレーニング協会認定講師
- 日本レセプト学会認定レセプト管理士
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師



