夏に流行しやすい感染症ヘルパンギーナとは?
子どもが急に熱を出したり、食事を嫌がったりすると、保護者の方は不安になります。特に小さな子どもは、のどの痛みや口の中の違和感をうまく伝えられません。いつもより機嫌が悪い、水分を飲みたがらない、よだれが増えるといった変化から、体調不良に気づくこともあります。
子どもの感染症は、季節や生活環境によって増えやすい時期があります。特に集団生活を送っている子どもでは、周囲で流行している病気の影響を受けることも少なくありません。体調の変化に早く気づき、家庭でできる対応と受診の目安を知っておくことが、落ち着いて判断しやすくなります。
ヘルパンギーナとは
ヘルパンギーナは、乳幼児を中心にみられるウイルス感染症です。突然の発熱とのどの痛みが現れ、のどの奥に小さな水疱や潰瘍ができることが特徴です。夏風邪の1つとして知られており、保育園や幼稚園で流行しやすい病気です。
のどの症状が出ると、飲み込むときに強い痛みを感じることがあります。小さな子どもでは、食事や水分を嫌がる、よだれが増える、不機嫌になるといった様子がみられます。普段よく食べる子が急に食べなくなった場合は、口やのどに痛みが出ている可能性があります。
ヘルパンギーナの原因
ヘルパンギーナの原因は、主にエンテロウイルス属のウイルスです。代表的なものにコクサッキーウイルスA群があります。細菌による感染ではないため、抗菌薬が通常効く病気ではありません。ウイルスの種類が複数あるため、一度かかっても別の型に感染することがあります。
ウイルスは、唾液、鼻水、のどの分泌物、便などに含まれます。咳やくしゃみのしぶき、ウイルスがついた手指やおもちゃ、便を介して感染が広がります。小さな子どもは手や物を口に入れやすく、感染が広がりやすい傾向があります。
ヘルパンギーナの主な症状
ヘルパンギーナの主な症状は、急な発熱、のどの痛み、口の中の水疱や潰瘍です。発熱に加えて、食欲不振、だるさ、頭痛、腹痛、嘔吐がみられることもあります。熱の高さだけでなく、全身の様子も合わせて確認することが大切です。
のどの奥の水疱は、破れると浅い潰瘍になり、飲食時にしみることがあります。水分が取れているか、尿が出ているか、ぐったりしていないかを確認することが大切です。口の中を痛がる様子がある場合は、無理に食べさせず水分を優先します。
流行しやすい時期
ヘルパンギーナは5月頃から増え始め、夏に流行しやすい感染症です。暑い時期は体調を崩しやすく、保育園や幼稚園など、子ども同士が近い距離で過ごす場では感染が広がることがあります。
患者さんの多くは5歳以下の子どもですが、年長児や大人が感染することもあります。家庭内では、きょうだいや保護者にうつることもあるため注意が必要です。家族に症状がある場合は、タオルや食器の共有を避けることが大切です。
ヘルパンギーナと手足口病の違い
ヘルパンギーナと手足口病は、どちらも夏に多いウイルス感染症です。口の中に症状が出る点は似ていますが、ヘルパンギーナでは、のどの奥に水疱や潰瘍が出やすい傾向があります。
一方、手足口病では、口の中だけでなく、手のひらや足の裏などに発疹や水疱が出ることがあります。ただし、症状だけで判断が難しいこともあります。急な発熱や強いのどの痛みがある場合は、耳鼻咽喉科でのどの状態を確認してもらうと安心です。
ヘルパンギーナの治療
ヘルパンギーナには、ウイルスを直接なくす特効薬はありません。治療は、発熱や痛みを和らげながら自然な回復を待つ対症療法が中心です。多くの場合は数日で症状が落ち着いていきます。
発熱やのどの痛みが強い場合は、必要に応じて解熱鎮痛薬を使うことがあります。のどの痛みが強い時期は、刺激の少ない飲み物や食べ物を少量ずつ取ることが大切です。また、薬を使うときは、年齢や体重に合った量を守ることが大切です。
家庭でのケア
家庭では、脱水を防ぐことが重要です。水、お茶、経口補水液、冷ましたスープなどを少しずつ与えます。酸味の強い飲み物、熱いもの、辛いもの、硬いものは避けます。一度に多く飲ませようとせず、こまめに飲める環境を整えます。
食事は、ゼリー、プリン、豆腐、おかゆ、やわらかいうどんなど、口当たりがよく、飲み込みやすいものが向いています。無理に食べさせるより、水分を取れているかを優先して確認します。
受診の目安
水分がほとんど取れない、尿が少ない、ぐったりしている、呼びかけへの反応が弱い、けいれんがある場合は、早めに受診してください。乳児や基礎疾患がある子どもでは、特に注意が必要です。症状が急に悪化した場合も、早めに医療機関へ相談します。
耳鼻咽喉科では、のどの奥や扁桃、口の中の状態を確認し、ヘルパンギーナかどうかを診察します。急な発熱とのどの痛みがあり、食事や水分を取るのがつらそうなときは、早めに相談してください。症状に合ったケアを知ることで、家庭でも落ち着いて対応しやすくなります。



