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百日咳とは?|長引く咳・激しい咳に注意

百日咳は、百日咳菌(Bordetella pertussis)によって起こる呼吸器感染症です。

名前のとおり咳が長く続くことが特徴で、子どもだけでなく大人も感染します

特に赤ちゃんでは重症化することがあるため注意が必要です。厚生労働省も、乳児では重症化する可能性があることを注意喚起しています。

「風邪だと思っていたのに咳だけがなかなか治らない」

「コンコンと咳が連続して出る」

「咳き込んで吐いてしまう」

このような症状が続く場合には、百日咳も原因の一つとして考えます。

百日咳の症状

百日咳は、最初から特徴的な激しい咳が出るとは限りません。

初めは、

鼻水・くしゃみ・軽い咳

など、一般的な風邪とよく似た症状から始まります。

その後、次第に咳が強くなっていきます。

子どもでは、

  • 短い咳が「コンコンコン」と連続する
  • 激しく咳き込む
  • 咳のあとに息を吸うとき「ヒュー」という音がする
  • 咳き込んで吐いてしまう
  • 夜間に咳が強くなる

などがみられることがあります。

特徴的な咳は徐々に軽くなりますが、完全に回復するまで2~3か月程度かかることもあります。

赤ちゃんの百日咳には特に注意

乳児、特に月齢の低い赤ちゃんでは、大人や年長児のような典型的な咳が目立たないことがあります。

その代わり、

呼吸が止まる
顔色が悪くなる
ミルクが飲めない
ぐったりする

などの症状が現れることがあります。

重症になると肺炎などを合併することもあります。

赤ちゃんでは「咳がひどくないから大丈夫」とは限りません。

呼吸が止まる、唇や顔色が青紫になる、呼吸が苦しそう、反応が悪いなどの症状がある場合には、速やかな医療機関への受診が必要です。

百日咳はどうやって感染する?

百日咳は、感染している人の咳やくしゃみなどによる飛沫感染や、分泌物などを介した接触感染によって広がります。

家族の中で感染することもあります。

特に注意したいのが、大人の百日咳です。

大人では典型的な激しい咳がみられず、

「咳だけがなかなか治らない」

ということがあります。

そのため、百日咳と気づかないまま、家庭内で赤ちゃんや子どもへ感染させてしまう可能性があります。

百日咳の検査|当院では抗原検査を行っています

百日咳は、症状だけでは普通の風邪やほかの呼吸器感染症と区別しにくいことがあります。

当院では、百日咳が疑われる患者さんに対して、百日咳菌の抗原検査を行っています。

鼻やのどの奥(鼻咽頭)から綿棒で検体を採取し、百日咳菌に関連する抗原を調べる検査です。国立感染症研究所のガイドラインでも、鼻咽頭拭い液を用いた抗原検査が百日咳の検査方法の一つとして示されています。

どのような場合に検査するの?

すべての「咳」に百日咳の検査を行うわけではありません。

診察で症状や咳の経過、周囲の流行状況などを確認し、例えば次のような場合に検査を検討します。

  • 咳が長引いている
  • コンコンコンと連続して激しく咳き込む
  • 咳のあと、息を吸うときに「ヒュー」という音がする
  • 咳き込んで吐いてしまう
  • 夜間に強い咳が繰り返される
  • 家族や学校・園など周囲に百日咳の患者さんがいる
  • 周囲で長引く咳が流行している
  • 乳幼児など、百日咳を早めに診断する必要性が高い

特に、風邪と思っていたのに咳だけがなかなか治らない場合には、百日咳も原因の一つとして考えます。

検査する時期も大切です

百日咳の検査は、症状が始まってからどのくらい経過しているかによって結果が変わることがあります。

百日咳菌そのものや抗原を調べる検査は、一般に発症から時間が経過するほど検出しにくくなります。実際、抗原検査の臨床評価でも、発症から4週間以上経過した症例では菌量が少なくなったことによる陰性例が報告されています。

そのため、

「百日咳かもしれない」と思ったら、咳が何週間も続いてからではなく、早めに受診することが大切です。

当院では、咳が始まってからの期間、咳の特徴、年齢、周囲の流行状況、抗菌薬の使用状況などを確認したうえで、医師が抗原検査の必要性を判断します。

陰性でも百日咳を完全には否定できません

抗原検査が陰性であっても、百日咳を完全に否定できるわけではありません。

発症から時間が経って菌量が少なくなっている場合などには、感染していても陰性となる可能性があります。また、抗原検査は百日咳類縁菌と交差する可能性もあるため、陽性・陰性だけで診断するものではありません。国立感染症研究所も、抗原検査のみではなく、臨床症状やほかの検査結果を考慮して総合的に診断することを求めています。

当院では検査結果だけを見るのではなく、咳の特徴・経過・周囲の感染状況などを合わせて総合的に判断します。

長引く咳・連続する激しい咳・咳き込んで吐くなどの症状がある場合は、百日咳の可能性もあります。当院では、症状や経過に応じて百日咳の抗原検査を行っています。

百日咳の治療

百日咳では、年齢や症状、発症からの期間などに応じて抗菌薬による治療が検討されます。

抗菌薬は、特に早い時期に使用することで百日咳菌を排除し、周囲への感染を防ぐうえでも重要です。

一方、すでに咳が強くなってから治療を開始した場合には、菌が減っても咳がすぐには治まらず、長く続くことがあります。

重症化している場合や、乳児で呼吸状態が悪い場合などには、入院治療が必要になることがあります。その場合は入院可能な医療機関をご紹介します。

百日咳はワクチンで予防できます

百日咳の予防で重要なのが予防接種です。

現在、日本では百日咳を含む定期接種として、主に

5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)

が使用されています。

これは、

百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオ・Hib感染症

の5つを予防するワクチンです。2024年度から5種混合ワクチンが定期接種で主に使用されています。

標準的には、

生後2か月から初回接種を開始

し、初回3回+追加1回の接種を行います。

家庭での感染対策

百日咳が疑われる場合には、家庭内で感染を広げないことも大切です。

咳やくしゃみがあるときは、

  • 咳エチケットを心がける
  • 手洗いを行う
  • 必要に応じてマスクを使用する
  • 赤ちゃんとの濃厚な接触には特に注意する

などを心がけましょう。

特に、家族に長引く咳があり、家庭内に月齢の低い赤ちゃんがいる場合には注意が必要です。

登園・登校はいつから?

百日咳は学校保健安全法で出席停止の対象となる感染症です。

登園・登校の目安は、

「特有の咳が消失するまで」または「5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで」

となります。

実際の登園・登校については、お子さんの状態や治療経過を踏まえて医師の指示に従ってください。

長引く咳はご相談ください

咳の原因は百日咳だけではありません。

風邪のあとに咳だけが残ることもあれば、鼻水がのどへ流れる後鼻漏、アレルギー、気管支・肺の病気など、さまざまな原因があります。

特に、

咳がなかなか治らない
咳き込みが激しい
咳で吐いてしまう
夜間に強く咳き込む
家族にも長引く咳がある

といった場合には、原因を確認することが大切です。

「咳が長引いているだけ」と考えず、気になる症状が続く場合には医療機関へご相談ください。

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中下 陽介(なかしもようすけ)

院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医

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  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 嚥下トレーニング協会認定講師
  • 日本レセプト学会認定レセプト管理士
  • 博士(医学)広島大学
  • 補聴器適合判定医師

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