逆流性食道炎・咽喉頭逆流症|のどの違和感・咳・声がれの原因になることも
逆流性食道炎・咽喉頭逆流症|のどの違和感・咳・声がれの原因になることも
「のどに何か引っかかっている感じがする」
「のどがイガイガして、咳払いを繰り返してしまう」
「風邪ではないのに咳が続く」
「朝起きると声がかすれている」
「胸やけや酸っぱいものが上がってくる感じがする」
このような症状の原因の一つとして、胃食道逆流症(GERD)や咽喉頭逆流症(LPR)があります。
胃の内容物が食道へ逆流すると胸やけなどが起こり、さらに逆流がのどの症状に関係することもあります。GERDでは胸やけ・呑酸だけでなく、慢性咳嗽や咽喉頭症状などの「食道外症状」がみられることがあります。
ただし、「のどの違和感=胃酸の逆流」とは限りません。
鼻副鼻腔炎、後鼻漏、アレルギー、咽喉頭炎、甲状腺疾患、腫瘍など、さまざまな原因があります。
耳鼻咽喉科では、まず鼻・のどを確認して、ほかの病気が隠れていないかを調べることが大切です。

胃食道逆流症(GERD)とは?
食べ物は、
口 → のど → 食道 → 胃
という順番で運ばれます。
通常、胃と食道の境界には、胃の内容物が食道へ逆流しにくくする仕組みがあります。
しかし、この働きが十分でなくなったり、胃に圧力がかかったりすると、胃の内容物が食道へ逆流することがあります。
その結果、胸やけや呑酸などの症状が起こります。
GERDには、内視鏡で食道粘膜の傷害が確認される逆流性食道炎と、明らかな粘膜傷害がなくても逆流症状を認める非びらん性胃食道逆流症(NERD)があります。
咽喉頭逆流症(LPR)とは?
胃の内容物の逆流が、のど・喉頭の症状に関係している状態を咽喉頭逆流症(LPR)と呼びます。
GERDでは、
胸やけ
酸っぱいものが上がってくる
といった症状が代表的ですが、LPRでは、
のどの違和感
咳
咳払い
声のかすれ
など、耳鼻咽喉科領域の症状が中心になることがあります。
そのため、患者さん自身は胃の病気とは思わず、
「のどがおかしい」
「咳が治らない」
と耳鼻咽喉科を受診されることがあります。

こんな症状がみられることがあります
胃食道逆流や咽喉頭逆流に関連して、
- 胸やけ
- 酸っぱい・苦いものが上がってくる
- のどの違和感
- のどのイガイガ
- 咳・慢性的な咳
- 頻繁な咳払い
- 声がかすれる
- 食後に症状が出やすい
- 横になると症状が出やすい
などがみられることがあります。
GERDによって慢性咳嗽や咽喉頭症状が生じることがあることは、日本消化器病学会のガイドラインでも取り上げられています。
一方で、これらは逆流だけに特有の症状ではありません。
「のどの違和感=胃酸」と決めつけないことが大切です
のどの違和感や咳、声がれは、
鼻副鼻腔炎・後鼻漏
アレルギー
感染症
声帯の病気
咳喘息などの呼吸器疾患
甲状腺疾患
咽頭・喉頭の腫瘍
などでも起こることがあります。
特に耳鼻咽喉科では、のどの症状がある場合に実際に咽頭・喉頭を観察できることが重要です。
耳鼻咽喉科ではのどを内視鏡で確認できます
必要に応じて、細い内視鏡を鼻から挿入して、
鼻の奥
咽頭
喉頭
声帯
などを観察します。
逆流に関連する可能性のある喉頭所見がみられることもありますが、内視鏡所見だけで「胃酸が逆流している」と断定するものではありません。
大切なのは、内視鏡で腫瘍など他の病気が隠れていないかを確認し、症状や経過なども合わせて総合的に判断することです。
症状によっては、消化器内科で胃内視鏡検査や逆流を評価する専門的検査が必要になることがあります。
逆流性食道炎・咽喉頭逆流症の治療
治療では、症状や病態に応じて生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせます。
GERDに対しては、胃酸の分泌を抑える薬が治療の中心となります。
日本消化器病学会のガイドラインでは、逆流性食道炎の程度などに応じて、PPI(プロトンポンプ阻害薬)やP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)などの酸分泌抑制薬を用いる治療が示されています。
ただし、のどの症状がある患者さん全員に酸分泌抑制薬が必要というわけではありません。
症状や診察所見、胸やけなどのGERD症状の有無などから治療方針を考えます。最近のLPRに関する欧州ガイドラインでも、生活・食事への対応を重視し、PPIは酸性LPRやGERD所見のある患者を中心に位置づけています。
日常生活でできる逆流対策
薬だけでなく、胃の内容物を逆流させにくい生活を意識することも大切です。
① 食べすぎない
一度にたくさん食べると胃が膨らみ、逆流が起こりやすくなることがあります。
腹八分目を意識しましょう。
② 食後すぐ横にならない
食後すぐに横になると、胃の内容物が逆流しやすくなります。
特に夕食後は注意しましょう。
③ 就寝直前の食事を避ける
夜遅い時間の食事は、就寝中の逆流につながることがあります。
できるだけ就寝直前の食事を避けることをおすすめします。
④ 自分の症状を悪化させる飲食物を控える
脂っこい食事、アルコール、カフェイン、香辛料などで症状が悪化する方もいます。
ただし、すべての食品を一律に禁止する必要はありません。
「これを食べると症状が出る」というものがあれば控えるという考え方が現実的です。
⑤ お腹を締めつけすぎない
きついベルトや衣服などで腹部を強く圧迫すると、逆流しやすくなることがあります。
⑥ 夜間に逆流する場合は寝方も工夫
夜間・就寝中に症状が強い場合には、上半身を少し高くして眠ることで症状の改善につながることがあります。
単に枕だけを極端に高くするのではなく、上半身全体を少し高くするイメージです。

こんな症状は早めにご相談ください
次のような症状がある場合には、単なる逆流症状と自己判断せず、医療機関で原因を確認することが重要です。
食べ物が飲み込みにくい
飲み込むと痛い
声がれが長く続く
血を吐いた・血の混じったものが出る
体重が意図せず減っている
症状が徐々に悪化している
特に嚥下障害、体重減少、出血、嘔吐、貧血などは、専門的な評価が必要となる警告症状として挙げられています。
必要に応じて消化器内科などの専門医療機関へご紹介します。
のどの違和感・咳・声がれでお困りの方へ
胃食道逆流症や咽喉頭逆流症では、胸やけだけでなく、
のどの違和感
咳・咳払い
声のかすれ
などが症状として現れることがあります。
しかし、これらの症状には鼻・のど・呼吸器など、さまざまな原因があります。
そのため、「胃酸のせいだろう」と自己判断するのではなく、まず症状の原因を確認することが大切です。
耳鼻咽喉科では、鼻・咽頭・喉頭・声帯などを確認し、症状に応じて治療を行います。さらに詳しい消化管の検査が必要な場合には、消化器内科などへご紹介します。
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執筆・監修医師紹介

中下 陽介(なかしもようすけ)
院長・医学博士・耳鼻咽喉科専門医
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当院では、専門的な知識と経験を生かし、適切な検査・診断・治療をご提案しています。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
主な資格・認定
- 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医
- 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 嚥下トレーニング協会認定講師
- 日本レセプト学会認定レセプト管理士
- 博士(医学)広島大学
- 補聴器適合判定医師




