耳の構造

 

 

これが耳の構造です。外耳道(耳の穴)は大人の方で約3cmあり、子供はもう少し短いです。この絵では外耳道はまっすぐに見えますが、外耳道には弯曲部(曲がり)があり、大人より子供の方がより曲がりが強いです。また、表面は皮膚でおおわれております。この構造が耳そうじを難しくさせています。

外耳道の自浄作用

もともと、外耳道には自浄作用があります。自浄作用とは、外耳道の奥から入口へと表皮(外耳道の皮膚のあか)が移動する働きであり、はがれた表皮や皮脂腺、耳垢腺などからの分泌液が混じり合った耳あかは、自然に耳の外へ出ていきます。したがい、通常は耳の奥のそうじは必要ありません。むしろ、耳そうじをし過ぎると、外へ出ようとする耳あかを奥へ押し込んだり、外耳道を傷つけてしまうことが多くなり、さまざまな支障が出てきます。

耳あかのタイプ

耳あかにはカサカサしたものとベトベトしたものがあります。耳あかのタイプを決定する遺伝子があり、カサカサとベトベトの割合に人種差があります。日本人は70〜80%がカサカサですが、ベトベトでも全く問題はありません。

耳そうじのやり方

●耳の入口から見える範囲だけ(耳の穴の入口から1cm位まで)を綿棒で優しく拭き取るようにして下さい。頻度は月に1~2回で十分です。

●入浴後は耳あかが湿ってやわらかくなっており、そうじがしやすいです。

●竹や金属など硬い材質の耳かきはおすすめしません。とくに奥はさわらないように気を付けて下さい。外耳道は曲がりが強く、奥の方は外から普通に見ても見えません。また、外耳道の奥3分の1は骨部外耳道といって、皮膚が薄くとても傷付きやすいところですので、簡単に傷がつき外耳炎や外耳湿疹になりやすいです。

●綿棒は短めに持ち、耳の壁をなでるようにしてください。

●カサカサの耳あかは、綿棒の先にオリーブオイルや水などで湿らせると取りやすくなります。

●取れにくい耳あかがあったり、そうじをしていて痛みが生じるようであれば、無理に取ろうとしないで、耳鼻咽喉科を受診しましよう。

「耳そうじだけで受診するのは大丈夫かな?」と思われるかもしれませんが、問題ありません。当院は耳そうじだけでも大丈夫です。遠慮なく受診してください。3か月に1回程度の受診をお勧めします。

 

執筆・監修医師紹介

医師 中下陽介院長/医学博士
楓みみはなのどクリニック 院長 中下 陽介

経歴

    • 関西医科大学 医学部医学科 卒業
    • 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 卒業
    • 広島大学関連病院勤務
    • 木沢記念病院 耳鼻咽喉科 副部長
    • 岐阜大学医学部付属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 助教(臨床講師)
    • 中濃厚生病院 頭頸部・耳鼻咽喉科 部長
    • 楓みみはなのどクリニック 院長

認定・資格

    • 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医
    • 日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医
    • 日本耳鼻咽喉科学会認定騒音性難聴担当医
    • 日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
    • 日本医師会認定健康スポーツ医
    • 博士(医学)広島大学
    • 補聴器適合判定医師

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